サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2012.05.15-Tue

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


インプラント周囲炎における外科的療法の評価 -ヒト臨床前向き研究、二年後の結果-
Title :RCT comparing minimally with moderately rough implants. Part 2: microbial observations.
Author :Quirynen M, Van Assche N.                              
Journal:Clin Oral Implants Res. 2012 May;23(5):625-34


PURPOSE
インプラントの表面性状の粗さが,歯肉縁下プラークの形成に与える影響について,ランダム化比較試験の手法により検討する.


MATERIALS AND METHODS
重度の歯周病の既往を持つ10名の無歯顎患者と8名の部分歯欠損患者を本研究の被験者とした.
欠損部に埋入される4-6本のインプラントはcomputer randomization programによって,機械研磨面のNobel Biocare MkⅢインプラント(以下,Tur)と,粗造面のTiUniteを表面にもつMKⅢインプラント(以下,TiU)とに選択された.また,その後に装着されるアバットメントもインプラントと同様の表面性状を持つものを選択した.
アバットメント連結後の3日,1週,2週,3週,一年の経過観察時においてインプラント周囲の歯肉縁下プラークを採取し,細菌培養法と,ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)とCheckerboard法により細菌叢の定量分析と同定とを行った.


RESULTS
・無歯顎症例,部分歯欠損症例ともに,全ての観察期間において,Tur群 とTiU群との間の歯肉縁下プラークの菌叢の種類と量に統計学的な有意差は認められなかった.
・部分歯欠損症例では無歯顎症例と比較し,
細菌性バイオフィルムの形成がより高度に形成されていた.
・部分歯欠損症例のインプラント周囲の菌叢は残存歯周囲のものと類似していた.


残存歯とインプラント周囲の菌叢の類似性
(fig7)


DISCUSSION & CONCLUSION
本研究結果によりインプラントの表面性状の相違が,インプラント周囲の細菌叢の形成や構成要素に影響を及ぼさないことが明らかになった.
むしろ,その影響は口腔内に残存している天然歯周囲の細菌叢に関連することが示唆された.


POINT OF CRITICISM
同型であるインプラントの表面性状のみを変化させ,RCTによってその影響を調査した臨床研究である.著者も述べているようにN数には不足があるものの,研究デザインの整合性と臨床への提言には説得力を感じる.近年は,適切なプラークコントロール下では,rough surfaceのインプラントは周囲骨の安定に寄与するという研究報告が散見することからも,カラー部もrough surfaceであるインプラントの使用が今後も一般的になるのではと予想される.

TOPIC OF CONCERN