サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2013.01.14-Mon

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


ジルコニアアバットメントに接着された各種上部構造の疲労強度について
Title :Fatigue resistance and failure mode of adhesively restored custom implant zirconia abutments.
Author :Oderich E, Boff LL, Cardoso AC, Magne P.                               
Journal:Clin Oral Implants Res. 2012 Dec;23(12):1360-8.


PURPOSE
ジルコニアアバットメントに接着されるセラミック冠とコンポジットレジン冠の疲労抵抗性をサイクリック荷重試験にて評価.


MATERIALS AND METHODS
CAD/CAM(NeoShape)により二種の設計のジルコニアアバットメントをそれぞれ30個作製し,これらに装着される均一形状のセラミック冠とコンポジット冠をそれぞれ15個ずつ,CAD/CAM(Cerec3)を用いて作製した.(試験体・総数N=60)

Zirconica Abutmentの設計Onlay型とCr型 Fig2改

ジルコニアアバットメントはコニカルテーパード型のインプラント(TiramaxCM, Neodent)に15Ncmにて装着され,下記の接着処理の後,ジルコニアアバットメントに装着された.
セラミック冠・コンポジットレジン冠
・酸化アルミナにてサンドブラスト処理.
・セラミック冠には9%フッ化水素酸処理を45秒間(Porcelain Etch, Ultradent).
・35%リン酸エッチング を1分間(Ultra Etch, Ultradent),後に滅菌水にて超音波洗浄.
・シアン処理(Silane, Ultradent)の後に100℃乾燥を1分間.
ジルコニアアバットメント
・テフロンテープにてアクセスホールを閉鎖
・Z Prime Plus (Bisco) を塗布,10秒乾燥.
・Bonding(Optibond FL, Kerr)塗布,乾燥.
・コンポジットレジン(Filtek Z100,3M)にて上部構造をアバットメントへ接着.
・余剰セメント除去後にエアーバリア剤(KYJelly Skilman)を塗布し再重合.
接着後,疲労抵抗測定装置にて50Nを500サイクル荷重に始まり200N, 400N, 600N, 800N, 100-N, 1200N, 1400N,を最大25,000サイクルずつ試験体に与え,それぞれの上部構造の破壊強度を測定した.


RESULTS

原著Fig3

原著Table3

DISCUSSION & CONCLUSION
ジルコニアアバットメントに接着されたコンポジットレジン製のOnly, Crownはセラミック製に比べ有意に高い疲労抵抗性を示した. 


POINT OF CRITICISM
コンポジットレジンの疲労抵抗の優位性を示す実験結果ではあるが,しかしこれを支持する臨床統計が皆無であることは本文中でも指摘されている.


TOPIC OF CONCERN:#1,7 

初期固定のないインプラントのオッセオインテグレーション -犬を用いた組織学的研究-
Title :Osseointegration of dental implants installed without mechanical engagement: a histometric analysis in dogs.
Author :Jung UW, Kim S, Kim YH, Cha JK, Lee IS, Choi SH.                              

Journal:Clin Oral Implants Res. 2012 Nov;23(11): 1297–1301.


PURPOSE
初期固定がなく埋入されたSLAインプラントのオッセオインテグレーションの過程を4週,8週の観察期間において検証する.


MATERIALS AND METHODS
生後18-24ヵ月の雄・雑種犬5匹を使用.
施術1:下顎両側小臼歯を抜歯.
施術2:施術1の8週後,下顎左側小臼歯部に2本のインプラントを埋入.通法に従い2.85mmの直径まで骨形成し,直径3.4mm,長さ10mmのインプラントを埋入したものをコントロール群とし,インプラントと同径まで骨形成し,初期固定を得ぬままインプラントを埋入したものをL1群とした.なお,コントロール群では全てのインプラントが30Ncm以上のトルクで埋入され,両群ともに屠殺時まで歯肉粘膜下にて治癒を得るよう,全層弁にて完全閉鎖し,荷重を与えないようにした.
施術3:施術2の4週後において,施術2と同様の2本のインプラント埋入を,反対側の下顎右側小臼歯部に行った.
施術4:組織切片を作成のための屠殺と試験体の包埋を行い,埋入後8週,4週経過のL1群とコントロール群のインプラント-周囲骨のサンプルを得た.
・インプラント埋入後4週,8週時の組織切片を作成し,L1群とコントロール群のそれぞれのインプラントの骨接触率(BIC)と周囲骨密度(BD)を測定し比較した.


RESULTS
L1群,コントロール群ともに全てのインプラントにてオッセオインテグレーションが  

獲得され,インプラント周囲への繊維組織の嵌入は認められなかった.
L1群,実験群のBIC,BDの比較は下記の通り.

Table1より改編
DISCUSSION & CONCLUSION
治癒期間中に負荷をかけずに粘膜下に埋入されたSLAインプラントは,埋入時に初期固定が得られなかった場合においても,十分な治癒期間後にはオッセオインテグレーションを獲得することができると示唆された.


POINT OF CRITICISM
本研究はN=5という極めて小さなサンプルサイズであったため,いずれの比較においても統計学的有意差を示すことができなかった.また,治癒期間も4週,8週の設定しかないため,どの治癒期間が最適か?という問いにも答えきれていない.
しかし,「初期固定のないインプラントにもオッセオインテグレーションは獲得される」という現象を紹介することはできているので,その点が評価されたのであろう.


TOPIC OF CONCERN: