サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2013.05.15-Wed

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。

審美領域における単独歯植立インプラントの乳頭部の形態と寸法についての横断研究
Title :Soft tissue topography and dimensions lateral to single implant-supported restorations.
A cross-sectional study.
Author :Moontaek Chang Jan L. Wennstro¨m                               
Journal:Clin. Oral Impl. Res. 24, 2013, 556–562


PURPOSE
審美領域における単独植立インプラントと隣在歯との位置関係と,歯間乳頭の形態,寸法についての関連を臨床例から得られた横断研究により調査する.


MATERIALS AND METHODS
上顎前歯部,小臼歯部に植立された単独歯インプラント(AstraTech)32症例を調査した.インプラントの上部構造と隣接歯間部の軟組織と硬組織の状態を,口腔内診査,口腔内写真,診断用模型,エックス線診査によって評価.得られたデータを一般線形化回帰モデルにあてはめ,インプラント周囲の歯間乳頭の高さに与える因子を検討した.
また,上記モデルとは別に,患者の上部構造装着後の審美性に対する満足度をVisual


RESULTS
・隣接歯の垂直的骨レベルは歯間乳頭の高さに統計学的有意差をもって影響を及ぼすことが認められた.
・また,上部構造コンタクトポイントの位置から隣接歯骨頂までの距離は,インプラント-天然歯間が歯間乳頭で満たされている症例においては平均4.3mmで,歯間乳頭で満たされていない症例での距離(平均5.7mm)に比べ有意に短いことがわかった.
・さらに一般線形化回帰モデル(ロジスティック解析)により,インプラント-天然歯間が歯間乳頭で満たされるためには頬舌的な歯間乳頭の厚みが有意な影響を及ぼし,また,隣在歯の骨頂からコンタクトポイントの距離を減少させることも同様の因子となりうる結果となった.
・VASから得られた患者の治療に対する患者の審美的満足度はインプラント-天然歯間が歯間乳頭で満たされているか否かに影響されないことがわかった.


DISCUSSION & CONCLUSION
インプラント-天然歯間が歯間乳頭で満たされているためには,頬舌的な乳頭の厚みを増すことが重要であり,また,上部構造コンタクトポイントから隣接部の骨頂の高さまでの距離を詰めることで,鼓形空隙は歯間乳頭によって満たされることが示唆された.一方,本研究においてはインプラント-天然歯間の水平的な距離は,鼓形空隙が歯間乳頭によって満たされることに影響を与えないことが示唆された.


POINT OF CRITICISM
横断試験であるがゆえに歯間乳頭「頬舌側の厚み」と「高さ」との間に統計学的に相関が認められたとしても,「頬舌側の厚み」を増加すれば→「高さ」の増加につながる,とのロジックが成立するとは限らない(cf.バレーボール部は背が高く,体重が重い.しかし,部員の体重を増やせば背が高くなるとは限らない).
また,コンタクトポイントを下げれば空隙が減る分、歯間乳頭で満たされるのは当然であり,歯間乳頭の評価を『papillae tip level』ではなく,わざわざ『”complete” or “deficient” papillae』 という新たな物差しを追加したことで,恣意的な工夫がかえって目立ってしまった.


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