サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2013.07.16-Tue

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


赤外線とLEDカメラを用いたCAD/CAMクラウンの適合性


要約
口腔内光学印象法はセレックシステムによる補綴装置の製作において、もっとも重要な構成要素の一つである。本研究ではセレックによるセラミッククラウンの製作過程において、異なる口腔内カメラ、2種類のパウダー、さらには異なる順序の画像キャプチャーを行った場合の、クラウンのマージン部と内面の適合について調査する。
実験方法
上顎左側第一大臼歯のオールセラミッククラウンの形成を行った実習用口腔内模型をポリビニルシリコーンによる印象を行い、エポキシレジン製のマスター模型を作成した。支台歯には酸化チタンパウダーを機械的に噴霧、もしくはコントラストスプレーを用いて、支台歯表面の反射を均一化した。赤外線カメラ( Cerec 3/RedCam unit)とLEDカメラ(Cerec AC/BlueCam unit)がクラウン製作のための画像撮影に用いられ、異なる3種の撮影順序による画像キャプチャーで光学印象が行なわれた。その後にそれぞれの実験グループのクラウンがCerec AC (V3.80 software)によって製作された。クラウン作製のミリングにはIPS EMPRESS CADのブロックが用いられた。支台歯形成されたマスター模型とクラウンのマージンと内面の適合評価には20倍のマイクロスコープを使用し、得られたデータは二元配置分散分析により統計分析された。
結果
すべての実験グループ間において、マージン部の適合、支台歯軸壁での適合、支台歯咬合面での適合に統計学的有意差(P<0.05)は認められなかった。
結論
実験室における限られた範囲での本研究の結果では、1)赤外線カメラ(RedCam)とLEDカメラ(BlueCam)、2)酸化チタンパウダーとコントラストスプレー、3)支台歯や隣在歯の画像キャプチャーの順序の相違が、セレックを用いたCAD/CAMクラウンのマージン部と内面の適合性に統計学的有意差を及ぼさないことが示された。

Keywords:  CAD/CAM、セレック、オールセラミックス、マージンの適合性、内面の適合性


緒言
セレックシステム(Sirona Dental Systems; Bensheim, Germany)により、一度の診療機会でセラミック修復装置を作製することが可能となった。臨床における口腔内光学印象法は、適合性の高いCAD/CAM修復装置を作製するための重要な構成要素ではあるが、様々な因子がその適合性とデジタル画像のキャプチャーの効率性に影響をおよぼすことが考えられる。口腔内カメラのアクセス、カメラの動き、画像数、画像撮影の順序、硬組織と軟組織の反射率、カメラと支台歯との距離など、これら全てがデジタル情報の読み取りに影響を与える因子として挙げられる。近年、セレックシステムはセレック3Dより赤外線カメラ(RedCam)と青色光を放射するダイオード(LED)カメラ(BlueCam)の二種類を展開している。BlueCam LED (470 nm)はRedCam赤外線光(820 nm)に比べ、短い波長を有している. Mehlらは短い波長のBlueCamはRedCamよりも画像解像度が向上したという研究結果を発表し、また、BlueCamの新しいレンズ構造が被写界深度を拡大したとも報告した。この焦点深度の増加がカメラの撮影位置に、より自由度をあたえることとなった。多くのセレックユーザーがCerec AC/BlueCam unitにアップグレードする一方で、3D/RedCamシステムも未だ多くが臨床使用されている。そしてRedCamとBlueCamにて口腔内光学印象をおこなう際には、酸化チタンの媒体を使用し、硬組織と軟組織の反射度を撮影のために均一化する必要がある。推奨される経済的なテクニックとして、酸化チタンパウダーを噴霧器 (Powder Meister, Powder Perfect, Powder Pro) で塗布する方法や、ブタンガスのスプレー缶を用いる方法がある。また、新製品のコントラストスプレーがパウダリングをより効果的で簡便にする方法として知られつつある。これらのエアロゾルスプレーは酸化チタンをフッ化炭素とともにエタノールに溶解した色素性の懸濁液から生成される。しかし、これまでのところ、様々なパウダリングテクニックが修復物の適合に及ぼす影響についてのエビデンスは皆無であるため、本研究ではエアロゾルイメージコントラストスプレーとしてOptispray (Sirona Dental Systems)を取り上げ、酸化チタンセレックパウダー (Vita Zahnfabrik,Bad Säckingen, Germany) を噴霧器(Powder Meister, Powder Meister Inc., Bloomington, IN, USA)で塗布した場合との修復物の適合性度を比較、評価する。
ところで、以前より、セレックのベーシックトレーニングプログラムではRedCamを用いた口腔内のデータ収集において、特定の画像から順にキャプチャーすることを推奨してきた。まず最初に窩洞形成部の画像を撮影する。つまり、支台歯形成された歯の着脱方向から撮影していく。次に支台歯形成された歯の遠心隣在歯を撮影し、続いて近心隣在歯の撮影を行う。この撮影順序により3歯-モデルが作製され、模型との適合性が向上するとされてきた。
その一方で、あらたな画像撮影法の手順がLEDカメラにおけるBlueCamの改善によって提案されている。ひとつには支台歯形成の着脱方向にとらわれないキャプチャーの方法である。その際、デザインの過程で模型は着脱方向にそって位置づけられる。さらに他の方法として、支台歯のカントゥアの高さより低い位置のデータをキャプチャーするために、頬側あるいは舌側に角度をつけて追加の画像を撮影する方法が挙げられる。
しかし、これまでのところイメージングパウダーの選択や、従来の方法とは異なる画像撮影が、ミリングされた最終補綴装置の適合に及ぼす有意性を調査したエビデンスはない。そこで本研究では模型実験により、RedCamとBlueCam、パウダリング、撮影方法の違いが、チェアサイドで作製されるCAD/CAMクラウンのマージン、内面の適合性にどのような影響を与えるかを調査することをその目的とした。


<材料と方法>
実習用口腔内模型(KaVo; Biberach/Riss, Germany)を用いて上顎左側第一大臼歯に対してオールセラミッククラウン形成を行った(図1)。上顎第一大臼歯は、マージン、軸壁、支台歯咬合面において十分なサイズがあるため、今回の計測に適していた。支台歯形成は機能咬頭で2.0㎜、中心溝で1.5㎜、軸面で1.2㎜の削合が行われた。マージンデザインはラウンディッドショルダー形態とした。全顎印象には、ポリビニルシロキサン(PVS)印象材(Extrude, Kerr; Romulus, MI, USA)を使用し、エポキシレジンを注入してマスターモデルを作製した。これにより、デジタルイメージングやセメンテーションの過程において隣在歯が移動することを防いだ。このエポキシモデルを全てのクラウンのイメージング、デザイン、フィット、セメンテーション用のマスターダイモデルとして使用した。


カメラタイプ
今回の実験では、3つの変数を用いた(表1)。第一の変数はカメラタイプである。グループ1は、赤外線レーザーカメラ(RedCam)を用いたCerec3D、グループ2は、LEDカメラ(BlueCam)を用いたCerecACとした。両グループにおいて、撮影の前に、Powder Meisterを使用して酸化チタンのパウダーを塗布した。それぞれのグループにおいて、10回ずつ撮影して、10個のクラウンを製作した。


パウダリングテクニック
第二の変数は、パウダリングテクニックである。前述のグループ2では、Powder Meisterで酸化チタンのパウダーを均一に薄く塗布し、Cerec AC BlueCamで撮影した。グループ3では、Optisprayを用いて酸化チタンを塗布し、Cerec AC BlueCamで撮影した。10回撮影して、10個のクラウンを製作した。


撮影順序
第三の変数は、1/4顎中の3本の歯(支台歯、近心歯、遠心歯)を撮影する順序である。一つ目の順序(グループ3)は、まず着脱方向から支台歯形成を撮影し、続いてそのまま支台歯の遠心隣在歯を撮影する。その後は近心隣在歯へと撮影していく。ソフトウェア上のバーチャルモデルの着脱方向はデザインの過程で変更しないようにする。二つ目の順序(グループ4)は、着脱方向とは関係なく、遠心隣在歯から撮影し、その次に支台歯、最後に近心隣在歯を撮影する。バーチャルモデルがソフトウェア上で計算された後、着脱方向に配置されます。三つ目の順序(グループ5)は、最初の3つの画像はグループ4と同じだが、さらに、頬側と舌側にそれぞれ20°傾けた位置からの画像を追加する。これらのグループそれぞれにおいて10回ずつ撮影し、10個ずつのクラウンを製作した。


パウダリング
酸化チタンパウダーを使用したグループにおいては、まずイメージング液(Cerec Imaging Liquid, Vita Zahnfabrik)をブラシで塗布し、圧縮空気で薄く広げ膜状にし、さらにその上に、Powder Meisterを用いてセレックパウダーを均一に塗布する。エアゾールスプレーを使用した群においては、支台歯、隣在歯に対して、Optisprayを用いて均一に酸化チタンを塗布した。


デザイン
光学印象によって得られたデータからCerec AC ( V3.80 software、Biogeneric design technique)を用いて、個々のクラウンを製作した。隣接面コンタクト距離は125μmに設定し、コンタクトの強さがクラウン装着に影響を与えることがないようにした。それ以外のパラメーターはメーカー推奨値に設定した。クラウンは、標準的なミリング装置であるFast Millを使用して、IPS EmpressCAD (Ivoclar Vivadent; Amherst,NY, USA)のブロックを削り出して、それぞれのクラウンを製作した。


フィッティング
それぞれのクラウンを削り出した後、支台歯に試適した。ライトボディーのPVS材料(Blu-Bite HP, Henry Schein; Melville,NY, USA)を薄くクラウン内に注入し、支台歯に指圧をかけて装着した。その後クラウンを注意深く外し、続いて内面にヘビーボディのPVS材料(Virtual, Ivoclar Vivadent)を注入した。PVSの色のコントラストを、マイクロスコープと測定ソフトを使用して自動的に解析することにより、セメントスペースを検出した。


計測
PVS材料をクラウンから外し、それらを頬舌方向の3つの切断面で、4つのセクションに分けた(図2)。分けられた端の近心部分と遠心部分は計測には使用せず、真ん中の二つのセクションを使用した。支台歯マージン、軸壁、支台歯咬合面における適合を20倍のマイクロスコープ(Nikon; Melville, NY, USA)で計測した。マージン部と内面の平均ギャップはImage Pro Plus (Media Cybernetics; Bethesda, MD, USA)を用いて算出した。軸壁と咬合面におけるギャップの測定には、2mm以上の距離に基づいて算出し、マージン部のギャップは、最も外側の1点を記録して算出した。それぞれのクラウンのマージンフィット、軸壁、咬合面の適合の平均値を算出し、平均値と標準偏差をそれぞれのグループで算出した。有意差検定(p < 0.05)に、二元配置分散分析(ANOVA)とTukey’s testを用いた。


結果
5つのグループにおいて、マージンフィット、軸壁と咬合面の適合を測定した結果、グループ間に有意差は認められなかった。マージンのギャップは58.60~66.84 μmであった。
図1
上顎左側第一大臼歯オールセラミッククラウンの支台歯形成


Discussions
マージンや内面での不適合は、二次齲蝕への罹患性と同様に、臨床実績や修復物の強度に影響を与えうる。そして、これらの要因がいくつか組み合わさるとにより修復物の予後にまで影響を及ぼすと考えられる。マージンギャップが大きくなれば、微小漏洩やセメント溶解が増大する2。McLean やvon Fraunhofer3らは、5年経過時点での単冠1000症例の臨床研究において120μm以下のマージンギャップは臨床上容認できる範囲であると結論づけた。Holmesら4は、マージンギャップの偏差は大きく、研究デザインや測定方法、測定部位などの多要因に依存すると示唆した。この理由のために、マージンの適合に関する研究間での比較は思慮分別されるべきといえる。本研究で試験されたカメラ、パウダー、画像撮影の順序の組み合わせでは、技工所で作製された修復物と同様に、臨床的に問題のないマージンと内面の適合性を有したクラウンが作成され、その値は他の研究結果と一致している5-11。
赤外線レーザーカメラ(RedCam)とLEDカメラ(BlueCam)で作製されたCerecクラウンのマージン部と内面の適合性に有意な差はみられなかった。RedCam赤外線レーザー(820nm)と比較してBlueCam LEDの短い波長(470nm)は、画像解像度がより向上している1。しかし、この画像解像度の向上は、必ずしも修復物の適合性の向上を意味するものではない。CAD/CAMクラウン作製過程における別の要因が、さらなる適合性の向上の歯止めとなっているようである。
デジタル画像の精確性は、ある程度、硬組織および軟組織の反射度に依存している。
得られるデータの精確さが最適化されるように、臨床家は様々な方法により、歯質表面の透明性や不透明性を均一化することが可能である。セレックパウダー粒子は平均11ミクロンの酸化チタンである。セレックキッドは水溶性のポリソルベート(親水性乳化剤)フィルムで、歯面に塗布し、しっかり乾燥させることでパウダーと接着させるものである。一方、Optisprayは、酸化チタンをフッ化炭素とともにエタノールに溶解した色素性の懸濁液から生成される噴霧式コントラストスプレーである。その粒子は平均5ミクロンで、リキッドの適用が不要である。粒子サイズや適用方法の違いにも関わらず、クラウンのマージン部や内面の適合性には有意な差はみられなかった。直感的にはパウダーレイヤーの過剰適用がマージンや内面の適合へ悪影響を与えるように考えられるかもしれないが、これらの技術や材料はその閾値にまで達してはしなかった。大きなマージンギャップを生み出すようなパウダーレイヤーの厚さに関しては、さらなる研究が求められる。
Mehlら1は、BlueCamで角度をつけた画像を咬合面からの画像に付け加えることにより、精確性を損なうことなく、より情報量に優れたバーチャルモデルが得られたと結論付けている。カメラ撮影を着脱方向から角度をつけることにより、カントゥアの高さよりも低い位置のデータがより多くの得られる。角度を付けた撮影をしなかった場合、バーチャルモデルはカントゥアよりも低い位置において、推定されたデータを表示するであろう。この計算された画像データは歯頸部1/3の真のカントゥアを示していない。本研究において、画像撮影での角度撮影の追加は、最終修復物のマージンと内面の適合に有意な差を認めなかった。また、試験された3つの画像撮影法の間でマージンの適合に有意な差を認めなかったので、着脱方向から撮影することは決め手となるものではない。もし口腔内への最適なアクセスが後方歯部から撮影することを余儀なくされている場合でも、画像キャプチャーの順序によってクラウンの適合に明らかな差を生じないので、クラウンの適合を犠牲にすることなく行うことができる。
すべての実験グループにおいて、クラウンの咬合面側で適合不良を示した。この適合不良は、ステップバーのクラウン内面での過剰形成によるものであろう。ステップダイヤモンドは修復物の凹んだ部分を切削形成する。ステップダイヤモンドの直径は大きすぎて、いくつかの形成領域(エリア)では精度の高い内面形状を切削できないかもしれない。この場合、セレックソフトウェアは形成ラインのアンダーカットやオーバーカットの形成へのダイヤモンドの軌道を計算しなければならない。そして、凹んだ表面への過剰切削のみが修復物の完全な位置づけを可能とさせる。Attia やFasbinderら10は、チェアサイドCAD/CAMクラウンの内面やマージンの適合において、フラットな咬合面形成と解剖学的要因を考慮した咬合面形成が与える影響について調査した。フラットでより丸みのある形態はクラウンの適合性を向上させる結果となった。解剖学的要因を考慮したより複雑な形成形態は、クラウンの凹み表面の過剰形成の増大やより大きなセメント間隙を生む結果となった。May ら12は、セレッククラウン咬合面側の様々な不適合が及ぼす影響について研究し、セメント間隙の厚さの増大に伴ってクラウンの荷重負担能力が低下することを見出した。この研究は、修復物の強度を最大にするためにクラウン内面の適合性を向上させることが重要であることを示している。
セレックCAD/CAMクラウン作製過程において、術者は様々な選択可能な技術や材料が利用できる。理論的にはこれらの多くの要因が取り込むデジタルデータの精確さに影響を及ぼし、潜在的に最終修復物の適合性に影響を与えていると考えられる。しかし、本研究では、カメラタイプ、パウダーテクニック、そして撮影順序の変化がマージンや内面の適合に与える有意な影響は認められなかった。


Conclusions
in vitroで行った本研究の結論は下記の通りである:
・赤外線カメラ(RedCam)とLEDカメラ(BlueCam)で作製されたセレッククラウンにおいて、マージン部と内面の適合性に有意な差はなかった。
・画像処理液/酸化チタンパウダーもしくはエアゾールスプレーを用いたセレッククラウンにおいて、マージン部と内面の適合性に有意な差はなかった。
・画像数と画像撮影順序はセレッククラウンのマージン部と内面の適合性に有意な影響を与えなかった。


今月のインプラント関連の最新論文

2013.07.10-Wed

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


赤外線とLEDを用いたCAD/CAMクラウンの適合性


要約
口腔内光学印象法はセレックシステムによる補綴装置の製作におけるもっとも重要な構成要素の一つである。本研究ではセレックによるセラミッククラウンの製作過程にて、異なる口腔内カメラ、2種類のパウダー、さらには複数の画像キャプチャの撮影手順を行った場合の、クラウンのマージン部と内面の適合を調査する。


実験方法
上顎左側第一大臼歯のオールセラミッククラウンの形成を行ったエポキシレジン製の実習用口腔内模型を、ポリビニルシリコーン印象材によって印象採得した。支台歯には酸化チタンパウダーを機械的に噴霧、もしくはコントラストスプレーを噴霧し、支台歯表面の反射を均一化した。赤外線カメラ( Cerec 3/RedCam unit)とLEDカメラ(Cerec AC/BlueCam unit)がクラウン製作の画像撮影のために用いられ、異なる3種の画像キャプチャの撮影手順により光学印象が行なわれた。その後にそれぞれの実験グループのクラウンがCerec AC (V3.80 software)によって製作された。クラウン作製のミリングにはIPS EMPRESS CADのブロックが用いられた。支台歯形成されたマスター模型とクラウンのマージンと内面の適合評価には20倍のマイクロスコープを使用し、得られたデータは二元配置分散分析により統計分析された。


結果
すべての実験グループにおいて、マージン部の適合、支台歯長軸壁での適合、支台歯咬合面での適合に統計学的有意差(P<0.05)は認められなかった。


結論
実験室における限られた範囲での本研究の結果では、1)赤外線カメラ(RedCam)とLEDカメラ(BlueCam)、2)酸化チタンパウダーとコントラストスプレー、3)支台歯や隣在歯の画像キャプチャの順序の相違が、セレックを用いたCAD/CAMクラウンのマージン部と内面の適合性に統計学的有意差を及ぼさないことが示された。


Keywords:  CAD/CAM、セレック、オールセラミックス、マージンの適合性、内面の適合性


緒言
セレックシステム(Sirona Dental Systems; Bensheim, Germany)により一度の診療機会でセラミック修復装置を作製することが可能となった。臨床における口腔内光学印象法は適合性の高いCAD/CAM修復装置を作製するための重要な構成要素ではあるが、様々な因子がその適合性とデジタル画像のキャプチャの効率性に影響をおよぼすことが考えられる。口腔内カメラのアクセス、カメラの動き、画像数、画像撮影の順序、硬組織と軟組織の反射率、カメラと支台歯との距離など、これら全てがデジタル情報の読み取りに影響を与える因子として挙げられよう。近年、セレックシステムはセレック3Dより赤外線カメラ(RedCam)と青色光を放射するダイオード(LED)カメラ(BlueCam)の二種類を展開している。BlueCam LED は短波長(470 nm)を有し、対してRedCam赤外線光は820 nmの波長である. Mehlらは短波長のBlueCamはRedCamよりも画像解像度が向上したという研究結果を発表し、また、BlueCamの新しいレンズ構造が被写界深度を拡大したとも報告した。この焦点深度の増加がカメラの撮影位置により自由度をあたえることとなった。多くのセレックユーザーがCerec AC/BlueCam unitにアップグレードする一方で、3D/RedCamシステムも未だ多くが臨床使用されている。そしてRedCamとBlueCamにて口腔内光学印象をおこなう際には、酸化チタンの媒体を使用し硬組織と軟組織の反射度を撮影のために均質化する必要がある。推奨される経済的なテクニックとして、酸化チタンパウダーを噴霧器 (Powder Meister, Powder Perfect, Powder Pro) で塗布する方法や、ブタンガスのスプレー缶を持ちいる方法がある。また、新製品のコントラストスプレーがパウダリングのより効果的で簡便な方法として紹介されつつある。
これらのエアロゾルスプレーは酸化チタンをフッ化炭素とともにエタノールに溶解した色素性の懸濁液から生成される。これまでのところ、様々なパウダリングテクニックが修復物の適合に及ぼす影響についてのエビデンスは皆無であるため、本研究ではエアロゾルイメージコントラストスプレーとしてOptispray (Sirona Dental Systems)を取り上げ、酸化チタンCerec パウダー (Vita Zahnfabrik,Bad Säckingen, Germany) を噴霧器(Powder Meister, Powder Meister Inc., Bloomington, IN, USA)で塗布した場合の修復物の適合性度を評価する。
以前より、セレックのベーシックトレーニングプログラムではRedCamを用いた口腔内のデータ収集においては特定の画像から順にキャプチャすることを推奨してきた。先ず最初に窩洞形成部の画像を撮影する。つまり、支台歯形成された歯を窩洞形成の着脱方向に沿って撮影していく。次に支台歯形成された歯の遠心隣在歯を撮影し、続いて近心隣在歯の撮影を行う。この撮影方法により3歯-モデルが作製され、この方法により模型との適合性が向上するとされてきた。
一方で、あらたな画像撮影法の手順がLEDカメラにおけるBlueCamの改善によって提案されている。ひとつには支台歯形成の着脱方向にとくにとらわれないキャプチャの方法である。模型はその際、デザインの過程では着脱方向にそって位置づけられる。さらに他の方法として、支台歯のカントウゥアの高さより低い位置のデータをキャプチャするために頬側あるいは舌側に角度をつけて追加の画像を撮影する方法が挙げられる。
しかし、これまでのところイメージングパウダーの選択や、従来の方法とは異なる画像の撮影により、ミリングされた最終補綴装置の適合性に及ぼす有意性を調査したエビデンスはない。そこで本研究では模型実験により、RedCamとBlueCam、パウダリング、撮影方法の違いが、チェアサイドで作製されるCAD/CAMクラウンのマージン、内面の適合性にどのような影響を与えるかを調査することをその目的とした。