サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2015.07.17-Fri

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


スウェーデンにおける無作為抽出法によって得られたインプラント治療の患者報告アウトカム
Title :Patient-reported outcomes of dental implant therapy in a large randomly selected sample.
Author :Derks J1, Håkansson J, Wennström JL, Klinge B, Berglundh T.                            
Journal:2015 May;26(5):586-91


PURPOSE
スウェーデン社会保険庁(SSIA)にて登録されたインプラント治療患者のビッグデータを無作為抽出し,患者報告アウトカムを検討する.


MATERIALS AND METHODS
インプラント治療の既往のあるSSIAの患者データを基に,2003年にインプラント治療を受けた65-74歳(23,000人以上)より3,000名を無作為に抽出.さらに,45-54歳の患者1,716名とあわせて4,716名のインプラント治療患者に対し,上部構造装着後約6年後,以下の10の質問事項に関するアンケート用紙を送付した.
❶治療全体の満足度,❷治療の審美的な満足度,❸咀嚼能率の向上,❹自己の自信の向上,❺合併症の有無,❻治療費の価値,❼もう一度インプラント治療をしたいと思うか?❽誰が治療を勧めたか?❾抜歯後の治癒期間❿定期検診に応じているか?
これらによって得られたデータを度数分布にし,⓵年代別,②術者(GP or Specialist),③クリニックの形態(公立or 私立)④欠損の形態(一歯,多数歯,無歯顎),⑤部位(前歯部or 臼歯部),⑥上下顎,⑦誰が治療を勧めたか?(患者 or 術者)⑧抜歯後の治癒期間(6ヶ月以上or 以下)を変数とする多重ロジスティクス回帰モデルを作成し,各項目のオッズ比を算出した.


RESULTS
患者3,827名より回答が得られた.度数分布化されたデータをTable5に示しているが,全体として患者のインプラント治療に対する高い満足度が示された. 
特に若い世代よりも高齢の世代で,患者の高い満足度が示され(OR2.1),また,女性よりも男性でより高い評価が認められた(OR1.5).
一方で,GPで行われた治療の満足度は専門医で行われた治療に比べ低く(OR:0.7),また,咀嚼能率の回復についても低い満足度であった(OR:0.8).
なお,咀嚼能率の回復についての満足度は若い世代よりも高齢の世代での評価が高く(OR:2.2),また,一歯欠損よりも複数歯欠損症例にて高い結果を示した(OR:2.0).


CONCLUSION
以上の大規模調査から得られたインプラント治療の患者報告アウトカムにより,⑴患者の年代別,⑵欠損の範囲,⑶術者が専門医であるか否か,によって治療の満足度に影響を及ぼす可能性が示唆された.


POINT OF CRITICISM
本研究はJDR 2015 Mar;「スウェーデンにおけるインプラント喪失に関する多変量解析」と同一のサンプルの研究である.
さて,本論文では「患者の年代別」と「欠損の範囲」を別の因子として扱っているが,本データの45⁻54歳と65-74歳のインプラントの埋入本数がそれぞれ平均,2.6本と4.9本であり,二因子の交絡の可能性は否めないのではないであろうか? 
(高齢だから患者満足度が高いのではなく,高齢患者は欠損指数が多いがために治療後の満足度が高い…)

TOPIC OF CONCERN 17