サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2016.09.20-Tue

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


PURPOSE
本研究の目的は根面被覆術の臨床と研究の「懸け橋」となるEBMの構築にある.


MATERIALS AND METHODS
2013年までに得られた根面被覆術に関連する科学論文を集積し,システマティックレビューの方法で様々なトピックスを評価する.以下に主に比較される根面被覆の術式を示す.
1) free gingival grafts (FGGs)
2) coronally advanced flaps (CAFs)
・CAFs単体
・+ acellular dermal matrix grafts
(ADMGs):商品名「AlloDerm」など
・+ enamel matrix derivative protein
(EMD): 商品名「Emdogain」など
・+ xenogenic collagen matrix grafts (CM): 商品名:「MucoGraft」など
3) laterally positioned flaps (LPFs)
4) sub epithelial connective tissue grafts (SCTGs)
・SCTGs単体
・+ CAFs
Part1では,これまでに発表されてきたシステマティックレビューにより,根面被覆の全体像を把握しPart2ではrandomized trialを集積したメタ分析により,上記の術式の根面被覆の平均的な達成量と,完全に根面被覆が達成された症例の頻度を評価する.またPartⅢではnon-randomized trial ではあるが,主に Millerの分類のClassⅢ,Ⅳの治療法についての論文を集積し、システマティックレビューを行った.


RESULTS
結果Part1:2,456の論文から2002年から2013年の間に根面被覆に関連する19編のシステマティックレビュー論文が得られた.
・SCTGsは「ゴールドスタンダード」な根面被覆の治療方法であり,CAF, CAF+GTR,LPF,FGGと比較して,根面被覆の達成量だけでなく,完全な根面被覆の達成率,対費用効果,長期安定性の面で優れていた.
・CAFとEMDの併用はCAF単独より治療効果が高かった.
・根面処理によっていずれの根面被覆術においても反応が改善されることはなかった.
・喫煙者にも根面被覆術の効果が得られたが,SCTGを用いた場合,非喫煙者と比較して有意にCAL gainは減少していた
結果Part2:2,456の論文から94編のrandomized trialが得られ,メタ分析を行った.
・SCTGとCAFの併用は,GTR, GG, EMD, CM, CAF単独,と比較して,根面被覆の達成量が統計学的な有意差をもって大きかった.
・マイクロスコープの使用は根面被覆の達成には有用であった.
結果Part3:Millerの分類のClassⅢ,Ⅳの治療結果に対するレビュー
・ClassⅢにおける根面被覆の達成量は54.8%-85%とそれぞれの研究によって差がある.
・SCTGにEMDを併用する効果は論文によって有用とする場合と,効果の差は現れないとする結果がある.
・ClassⅣの根面被覆についての質の高いEBMは皆無.Vergaraらの12の治療例によると平均3.2mmの達成量.


CONCLUSION
・SCTGを用いた根面被覆術が平均の根面被覆の達成量,完全な根面被覆達成率,双方の指標においてもっとも効果的で、他の術式と比較して角化歯肉も有意に増加した.
・ClassⅢに対するSCTGを用いた根面被覆も有用である.EMD,ADMG,GTRによる治療もその代替案となりうる.
・喫煙は明確に根面被覆の治療効果を減少させる.
・組織学的には,ADMG, CAF, CM, FGG, LPF, SCTGによる根面被覆の治癒は長い上皮性付着とコラーゲンファイバーが根面と平行に走行する結合組織性付着.GTRとEMD,そしてグロースファクターを用いた根面被覆では部分的な歯周組織の再生が認められる.
・上皮付きSCTG,あるいは骨膜付きのSCTGには,臨床的な有用性はみとめられなかった.

POINT OF CRITICISM
根面被覆の臨床的なテクニックを多岐にわたり詳述している.2013年までのデータを網羅しているため,古典的なテクニックに限らず,EMD, グロースファクター,生体材料,根面処理,組織学的研究,マイクロスコープにまで言及している. Millerの分類のClassⅢ,Ⅳに対する治療法は科学的根拠に乏しいとしながらも,ClassⅠ,Ⅱのデータはメタ分析できるほど豊富であり,結果にも説得力があった.そのなかでMillerの分類のClass ⅠからⅢにおいて,SCTGsがもっとも有効な方法で,CAFsとの併用も望ましいとの結論だ.さらにはEMDの使用は有効であるが代替的で,GTR, FGGは根面被覆のためだけの治療という点では不適当である、ということが本稿の趣旨であろう.

TOPIC OF CONCERN 12,13