サトウ歯科 デンタルインプラントセンター大阪

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今月のインプラント関連の最新論文

2017.11.20-Mon

【 佐藤琢也 記 】


デンタルインプラントセンター大阪では毎月、
インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。


今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。


インプラント周囲の歯肉の厚みが周囲骨に与える影響 –システマティックレビュー-
Title :What is the effect of soft tissue thickness on crestal bone loss around dental implants? A systematic review.
Author :Akcalı A, Trullenque-Eriksson A, Sun C, Petrie A, Nibali L, Donos N.
Journal:Clin Oral Implants Res. 2017 Sep;28(9):1046-1053.


PURPOSE
システマティックレビューの手法を用いて,インプラントへの荷重1年後以降におけるインプラント周囲の歯肉の厚みが,周囲歯槽骨の吸収に与える影響を調査する


MATERIALS AND METHODS
MEDLINE via OVID, EMBASE and The Cochrane Databaseの3つのデータベースより2015年までに発表された,上記テーマに関連するRCT, CCT, 前向き臨床試験を集積し,システマティックレビュー,メタ分析による検討を行った.また,バイアスリスクをコクランコラボレーションツールにて評価した.


RESULTS
2,962の論文より本研究の条件が満たされる論文は6編であった.
うち4編はインプラント周囲の歯肉の厚みをthin typeとthick typeとに分類し,周囲歯槽骨の吸収との関連を調査した後に統計学的な有意差が現れることを示した.また残りの2編はメタ分析であったが,ともに歯肉のバイトタイプと周囲歯槽骨の吸収に関連する統計学的関連は示さなかった.また,これらのインプラントの生存率はいずれの論文においても100%であった.

table 4.改変 : 下段の2編がメタ分析


DISCUSSION & CONCLUSION
インプラント周囲歯肉の厚みに関する定義が一般化されていない現状では,メタ分析の手法を当てはめるのが研究手技の面から非常に困難であった.具体的にはthin typeの歯肉の厚みの定義として,1mm以下,1.5mm以下,2mm以下と各研究によって自由に設定されており,歯肉の厚み自体が根拠に基づいた分類されているとは言い難い状況であった.よって,システマティックレビューとしての本研究では,インプラント荷重後の,周囲歯肉の厚みと周囲骨の吸収とに統計学的に有意な差が認められたという結論には至らなかった.また,抽出された6編の論文はバイアスリクスが高く,信頼性の面でも疑問が残った.
両者の関連性は有意差としては示すことはできなったものの,一方で各論文を個別に分析すると,インプラント周囲歯肉の厚みが周囲骨吸収に大きな影響を与えることは明確であったため,よく規格化された研究デザインが今後さらに期待される.


POINT OF CRITICISM
本研究はインプラント周囲歯肉のバイトタイプと荷重後の周囲骨吸収との関連性についての研究であったが,以前より議論されているインプラント周囲の角化歯肉の必要性について,というテーマが思い起こされた.両者に統計学的に有意でなくとも「歯肉」が十分にあって不利益なることがないのは自明で,臨床においても十分留意されるべき事項であろう.

TOPIC OF CONCERN :6, 17