今月のインプラント関連の最新論文

【 佐藤琢也 記 】

デンタルインプラントセンター大阪では毎月、インプラントと歯周病に関連する最新英論文を翻訳する勉強会が開催されております。
今月はインプラントを学ぶ歯科医師の先生向けに下記の論文を紹介させていただきます。

ミラーの歯肉退縮の分類ClassⅠ・Ⅱ症例に対し,改良型トンネルテクニックを用いた無作為割付による臨床試験 -コラーゲンマトリックスと結合組織移植の比較-

Title :Clinical evaluation of Miller class I and II recessions treatment with the use of modified coronally advanced tunnel technique with either collagen matrix or subepithelial connective tissue graft: A randomized clinical study

Author :Małgorzata Pietruska, Anna Skurska, Łukasz Podlewski, Robert Milewski, Jan Pietruski.                       

JournalJ Clin Periodontol. 2019;46:86-95.

PURPOSE

ミラーの歯肉退縮の分類ClassⅠ・Ⅱ症例に対して改良型トンネルテクニックを用い,その際にコラーゲンマトリックスの移植した場合と,結合組織移植を併用した場合の術後経過を比較し,それぞれの術式の有用性を検討した.

MATERIALS AND METHODS

本研究では下顎の天然歯頬側に歯肉退縮を有する患者29名を被験者とし(歯肉退縮は合計91部位),一人の術者によって根面被覆術が行われた.その術式はsplit mouth designを趣旨とする下記の異なる二種類を無作為に選択された.

1. subepithelial connective tissue graft (SCTG):

受容側の頬側歯肉を縦切開を加えずに歯頚部よりfull thickness flap をMGJまで剥離し,MGJを越えてはpartial thickness flapとするsplit thickness flapを形成した(modified coronally advanced tunnel technique).上顎臼歯部の口蓋より上皮付きの遊離歯肉を採取した後に,口腔外で上皮を除去し,これを移植片とした.移植片は受容側の頬側フラップ内に挿入され,歯頚部1mm付近で6-0の縫合糸にて固定された.

2. collagen matrix (CM):

SCTGと同じ術式であるが,移植片である上顎歯肉結合組織に代わりにcollagen matrix (Mucoderm,Botiss Biomaterials)を使用した.

ベースライン時と術後12ヶ月後までに,gingival recession height (GR) , width (RW), 被覆された露出根面の割合:mean root coverage (MRC), 完全な根面被覆が得られた症例の割合:complete root coverage (CRC), そして root coverage esthetic score (RES),などが記録された.

RESULTS

MRC はCMにて53.20%であったのに対し,SCTGでは83.10%であった. CRCはCMで20%(45症例中9症例),SCTGで 67%(46症例中31症例).ベースライン時にCMとSCTGとの根面被覆の治療成績に統計学的有意差は認められなかったが,12ヶ月後にはMRC, CRC, GR, RW, RES,そして角化歯肉幅と歯肉の厚みについても,SCTGがCMよりも統計学的有意差をもって臨床的に好ましい結果を示した

DISCUSSION & CONCLUSION

modified coronally advanced tunnel techniqueによる根面被覆術はCM,SCTGを併用した場合,ともに臨床的には有用であったが,SCTGのほうが更に効果的であった.

POINT OF CRITICISM

根面被覆術を全層弁でおこなう根拠は示されていなかった.下顎は上顎に比べ,筋の付着位置,歯肉の厚み,乳頭下のスペースの問題棟があり,根面被覆は難しい,との考察が興味深い.

TOPIC OF CONCERN 6,12,13